Apple (iOS) の広告トラッキング制限 (LAT) が計測に与える影響

はじめに

iOS 広告トラッキング制限 (LAT) の目的は、ユーザーのプライバシーを向上することです。

iOS 10より前は、ユーザーがLATの設定をオンにした場合、OS はこのユーザー設定を示す「フラグ」を送信していました。ただし、Apple の IDFA 識別子は引き続き取得できており、すべての企業がこのユーザー設定を尊重していたわけではありませんでした(Android では現状このステイタスです)。また、Apple は各企業がこの ID を、「フリークエンシーキャップ(広告が同じユーザーに表示される回数を制限する機能)、アトリビューション、コンバージョンイベント、ユニークユーザー数の推定、広告不正の検知、デバッグ」に利用することを認めていました。

iOS 10 では、Appleは LATのスタンスを強化し、LAT が有効になっている場合、ユーザーの IDFA の代わりにゼロ(0)の文字列を送信すると決定しました。したがって、iOS 10以上の場合、LAT ユーザーの IDFAは、アトリビューションを含むいかなる目的にも使用できません。

iOSユーザーの99%以上が、iOS 10以上を使用しており、そのうち約25%のユーザーが LAT を有効にしています。したがって、4人に1人の iOS ユーザーが LAT を有効にしており、この記事ではこれらのユーザーに対する計測方法について説明します。

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グラフが示すように、AppsFlyer分析によると、iOSのLATユーザーの割合は、2019年初旬の16%から2020年半ばの25%に上昇しています。iOS 14でのAppTrackingTransparency(ATT)の導入により、この上昇率が低下すると予測します。

追跡型広告の制限(LAT) が計測に与える影響

LATが計測とメディアソースに与える影響を理解するために、主な3つのケースを見てみましょう。

  1. 確率論的モデリングで計測できるメディアソース
  2. 確率論的モデリングの計測をサポートしていないメディアソース
  3. Apple Search Ads

1. 確率論的モデリングによるインストール計測

メディアソースの99%、およびオウンドメディア向けのカスタム計測リンクの100% が計測リンクを使用しています。LAT は、アトリビューション企業が ID マッチングを用いてインストール計測を行う機能に影響します。これらの計測リンクを使用している広告主にとって、計測されるインストールを25%も失うことは大きな懸念点です。

幸いにも、IDマッチングのフォールバックメカニズムである確率論的モデリングによる計測を使用することができます。これは、公的に利用できるパラメータ(一例として、デバイス名、デバイスの種類、OSバージョン、プラットフォーム、IPアドレス、キャリアなど)を使用し、特定のデバイス属性に統計的に一致する確率論的IDを形成します。したがって、確率論的モデリングは、IDマッチングに比べ精度が低いため、アトリビューション期間が短く、通常は24時間です。モバイルアプリインストールキャンペーンでは、ほとんどの場合、アプリの初回起動はインストールから1~2時間以内に発生します。この場合、確率論的モデリングの精度は非常に高くなります。ただし、インストールの計測が一部失われることは避けられません。

LATを有効にしているユーザーが25%であり、確率論的モデリングの精度が90%であると想定すると、最良のシナリオで約2.5%の計測が失われる計算になりますが、このメディアソースへの影響範囲はさほど劇的なものではありません。

実際には、広告主にとっていくつかのメリットがあります。

インプレッション数(CPM)やクリック数(CPC)ではなく、インストール単価(CPI)の料金体系でキャンペーンを実施する場合、つまり最大2.5%のオーガニックインストールを無料で獲得できる計算になります。

2. 確率論的モデリングなしでのインストール計測

Facebook Ads、Google Ads、Snapchatなどに代表される IDマッチングのみを使用するメディアソースの広告を、LATユーザーがクリックした場合はどうなるでしょうか?

ユーザーがアプリをインストールし起動すると、モバイルアトリビューション企業のSDKは IDFA を取得することができないため、メディアソースは IDマッチングを実行できず、このユーザーを自社経由のユーザーと識別することができません。このため計測は失敗し、結果的にアプリ所有者は、無料オーガニックユーザーを獲得します。

これは、CPIとCPAキャンペーンにのみ該当することですが、メディアソースが75%の非LATユーザーの中から自社経由のインストールを生み出さなければならないものの、25%のLATユーザーには引き続き広告を無料で表示できます。これは、約33%(100/75)の潜在的な無料インストールの増加が見込まれることを意味します。

これらのモバイルアプリ広告の大手企業が、今後 LATとATTの影響を最小限に抑えるために、何らかのソリューションをリリースすることは明らかです。例えば、単純にLATユーザーへモバイルアプリインストール広告の配信を停止したり、または確率論的モデリングAPIを実装したりするソリューションなどが考えられます。

結論として、広告主様にとっては、CPI または CPA キャンペーンの場合、確率論的モデリングをサポートしていないメディアソースにおいて、無料インストールを最大で33%ほど見込める可能性があります。

3. Apple Search Ads

Apple Search Ads は、iOS アプリ所有者にとってユーザーを獲得するために有益なメディアです。他のモバイルメディア企業とは対照的に、ユーザーがLATを有効にしていても、Apple は iTunesアカウントIDを使用することでモバイルユーザーを正確に把握することができます。

そのため、Apple Search Ads 側の計測は、LATユーザーによって損なわれることはありませんが、AppsFlyer はこれらをオーガニックユーザーと計測(または別のエンゲージメントへ成果を帰属)します。ただし、オーディエンスが設定された Apple Search Adsキャンペーンは LAT ユーザーを対象としないため、問題はオーディエンス設定がされていないキャンペーンに限定されます。

結論として、Apple Search Ads でターゲットを設定しないキャンペーンは、計測されないユーザーの割合が高くなる可能性があります。

 

18歳以下の Apple ユーザーは常に追跡型広告の制限(LAT)ユーザーです。

まとめ

上記の分析結果の驚くべき結論として、iOS 10で導入されたLATにより、アプリ所有者が獲得する非オーガニックインストールの割合が増加するということが分かりました。AppsFlyerのデータでは、この増加分のインストールは成果として計測されずに、オーガニックインストールとして表示されます。

次の重要なポイントにご注意ください:

  • アプリ所有者がこれらの有益な効果を生み出すには、CPI(またはCPA)キャンペーンを購入する必要があります。CPM や CPC キャンペーンは、逆にアプリ所有者ではなくメディア企業側にこの効果をもたらします。
  • 確率論的モデリングを使用しないメディアソース(主にSRN)は、最大33%の無料「オーガニック」ユーザーに貢献する可能性がありますが、あまり期待しないほうがよいでしょう。
  • Apple Search Ads のインストールキャンペーンのターゲティングをしないと、多くの有料ユーザーが計測されなくなるため、ターゲティング設定が非常に重要です。

 警告

前述のとおり、AppleのLATはアプリ所有者にとっては有益ですが、アドネットワークにとっては、これまで以上に多くのユーザーにモバイルアプリ広告の露出を高める必要があり、利益損失に関わる可能性があります。ただし、アトリビューション企業が、精度の高い確率論的モデリングソリューションを用いてモバイルインストールを計測することで、LATの影響はかなり限定されます。

 

Android にも、「カスタマイズされた広告のオプトアウト」という同様の制限があります。ただし、現時点では Android デバイスのLAT率は、ユーザー全体の2%以下と非常に少ない状況です。

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