ユーザー単位のクロスプラットフォームアトリビューションの概要と仕組み、AppsFlyerでの設定方法を説明します。
ユーザー単位のアトリビューションとは
ユーザー単位のアトリビューションは、プラットフォームが変わっても同じ値を使い続ける顧客ユーザーID(CUID)を使用して、複数のプラットフォームで発生するコンバージョンイベントを紐付けるモデルです。 CUIDを使用し、ユーザーの最初のコンバージョンまたはリエンゲージメントイベントにつながったメディアソースに、すべてのアクティビティを紐付けます。
クロスプラットフォームのリエンゲージメントを利用する場合も、まずは基礎となるアトリビューションモデルを説明する本記事をお読みください。その後、ユーザー単位のクロスプラットフォームリエンゲージメントアトリビューションの記事で、具体的な設定や動作をご確認ください。
複数のプラットフォームにまたがるユーザージャーニーの例
たとえば、ユーザーがGoogleのWeb広告をクリックし、PCのブラウザで会員登録と購入を完了したとします。その後、同じユーザーがInstagramのモバイル広告をクリックしてモバイルアプリをインストールし、アプリ内でも購入します。 1週間後には、そのブランドのCTVアプリをインストールし、同じCUIDでサインインして、CTVアプリでも有料サブスクリプションを開始します。
CUIDを使うことで、プラットフォームが変わっても同じユーザーを識別できます。この例では、そのCUIDに紐付く最初のノンオーガニック起動がGoogleのWebキャンペーンによるものです。そのため、モバイルアプリでの購入やCTVでのサブスクリプションを含め、その後のすべてのアクティビティをGoogleのキャンペーンに紐付けて計測します。
ユーザー単位とデバイス単位のアトリビューションの違い
このモデルは、デバイス単位のアトリビューションにおける主な課題を解消します。デバイス単位のモデルでは、各デバイスを別々のユーザーとして扱うため、プラットフォームをまたぐユーザージャーニーが分断されます。一方、ユーザー単位のアトリビューションでは、同じ値を使い続けるCUIDで複数のデバイスのイベントを紐付けます。これにより、一貫した計測と正確なキャンペーン評価が可能になり、プロダクトライン全体での顧客生涯価値を的確に把握できます。
以下のユーザージャーニーの例で、デバイス単位とユーザー単位のアトリビューションの違いを説明します。
ユーザーがWeb上でMetaの広告をクリックすると、広告主のWebサイトにリダイレクトされ、会員登録してアカウントを作成します。その後、同じユーザーが広告主のiOSアプリをインストールし、ログインして50ドルの購入を行います。数日後、ユーザーはYouTube広告を見て広告主のPCアプリをインストールし、再度ログインして100ドルの購入を行います。
デバイス単位のアトリビューションではMeta広告に紐付く収益は0ドルですが、ユーザー単位では150ドルになります。各モデルでこのユーザージャーニーがどのように計測されるかを、以下の表に示します。
| アプリ内購入イベント | デバイス単位のアトリビューション | ユーザー単位のアトリビューション(CUID) |
| iOSアプリでの購入(50ドル) | オーガニックに紐付け(そのデバイスで事前の広告クリックがないため) | Metaに紐付け(最初のWeb広告に基づく) |
| PCアプリでの購入(100ドル) | YouTubeに紐付け(そのデバイスでの直近の広告接触に基づく) | Metaに紐付け(CUIDで同じユーザーと識別されるため) |
| 購入額の合計(150ドル) | オーガニックに50ドル、YouTubeに100ドルを紐付け(キャンペーンごとに分散) | 合計150ドルをMetaに紐付け(単一の流入元に集約) |
クロスプラットフォームアトリビューションの対象となるイベントの条件
以下の条件をすべて満たすイベントが、クロスプラットフォームアトリビューションの候補となります。
-
CUIDが含まれていること:イベントに、有効な顧客ユーザーID(CUID)が含まれている必要があります。CUIDは、デバイスやプラットフォームをまたいでユーザーを一意に識別する、広告主が提供する永続的な識別子です(ログインID、ハッシュ化されたメールアドレスなど)。
- イベントにCUIDがなくても、同じ
appsflyer_idを持つ場合は、CUIDを含む最初のイベントが到着する最大4時間前までの短い処理期間内で、AppsFlyerがCUIDを補完できます。詳しくは、後述のCUIDの補完処理期間を参照してください。 - CUIDを含まず、補完処理でもCUIDを補えないイベントも、クロスプラットフォームアトリビューションの結果に含まれます。この場合は、デバイス単位の従来の計測方法でアトリビューションが判定されます。
- イベントにCUIDがなくても、同じ
- プロダクトラインに含まれていること:イベントを生成するアプリが、プロダクトラインに含まれている必要があります。プロダクトラインとは、同一ブランドの関連アプリ(iOS、Android、CTVなど)をまとめ、アトリビューションの対象範囲と設定を一括で管理する単位です。詳しくは、クロスプラットフォームアトリビューションのためのアプリのグループ化を参照してください。
- 休眠ユーザーのアトリビューション情報の保持期間内であること:イベントが、設定された休眠期間内に発生している必要があります。この期間(例:7~390日)は、特定のプロダクトラインでCUIDを引き続きアクティブとみなし、アトリビューションの対象とする期間です。この期間内にCUIDが確認されなかった場合、それまでのアトリビューションの紐付けは破棄されます。
- デバイス単位のアトリビューションフィールドが含まれていること:イベントに、AppsFlyerの従来のデバイス単位のアトリビューションモデルで判定された、有効なデバイス単位のアトリビューションパラメータ(メディアソース、キャンペーンIDなど)が含まれている必要があります。
イベントを紐付けるメディアソースの判定方法
このモデルでは、特定のユーザー(CUID)のすべてのイベントを、そのユーザーの最初のコンバージョンにつながった元のメディアソースに紐付けます。
元のメディアソースは、以下のロジックで判定されます。
- プロダクトライン内でCUIDを含むアプリ内イベントが発生すると、そのCUIDで最初に発生した起動イベント(有効なメディアソースが記録された起動イベント)を特定します。
- 従来のデバイス単位のアトリビューションで、その起動イベントに紐付けられたメディアソースを、アプリ内イベントの計測元とします。
- このメディアソースは、そのCUIDとプロダクトラインに関連する以降のすべてのイベントで、ユーザー獲得のクロスプラットフォームアトリビューションにおける計測元として使用されます。
- アプリ内イベントにCUIDがない場合、AppsFlyerは1~4時間の補完処理期間内にCUIDの補完を試みます。
- CUIDのないイベントが、定められたCUIDの補完処理期間外に到着した場合も、クロスプラットフォームアトリビューションの結果には含まれます。これらのイベントには、デバイス単位の従来の計測方法が適用されます。
AppsFlyerが同一のCUIDを照合するのは、同じプロダクトライン内のみです。異なるプロダクトライン間や顧客間で、CUIDの照合、推定、共有を行うことはありません。これにより、顧客ごとのデータを分離して独立性を維持し、プライバシーを最優先する方針を厳格に守ります。
CUIDの補完処理期間
CUIDの補完処理期間とは、AppsFlyerが新たに受信したアプリ内イベントを処理し、欠けている顧客ユーザーID(CUID)を補完するための期間(1~4時間)です。一部のアプリ内イベントにCUIDが含まれていなくても、この処理によりクロスプラットフォームアトリビューションが可能になります。
CUIDの補完の仕組み
- AppsFlyerは1~4時間ごとに処理ジョブを実行します。
- CUIDのないイベントが、CUIDのある別のイベントと同じ
appsflyer_idを持つ場合、AppsFlyerは欠けているCUIDを補完します。 - この紐付けの対象は、処理期間内に受信したイベントのみです。
CUIDの補完の例
-
8:01:アプリの初回起動イベントが、
appsflyer_id = XYZとともに記録されます。 -
9:00:会員登録イベントが、
cuid = 123およびappsflyer_id = XYZとともに記録されます。 -
12:00:4時間の処理期間が終了します。 AppsFlyerは、アプリの初回起動イベントにさかのぼって
cuid = 123を紐付けます。 -
12:30:
appsflyer_id = XYZを含む購入イベントが記録されますが、 - CUIDは含まれていません。処理期間の終了後に到着したイベントのため、AppsFlyerは
cuid = 123を紐付けません。
CUIDの補完に関する制限事項
- 1~4時間の処理期間外に到着したCUIDのないイベントは、AppsFlyerの従来の計測方法で処理され、クロスプラットフォームアトリビューションの結果に追加されます。
- 処理期間を超えて、CUIDをさかのぼって紐付けることはありません。
クロスプラットフォームでの照合を最大限に活用するため、送信するすべてのアプリ内イベントに必ずCUIDを含めてください。
クロスプラットフォームアトリビューションの設定
クロスプラットフォームアトリビューションを設定するには、AppsFlyer側でいくつかの設定を行い、アプリのコードに所定のSDK機能を実装する必要があります。
- AppsFlyer側では、アプリをプロダクトラインに追加し、クロスプラットフォームアトリビューションを有効にして、休眠ユーザーのアトリビューション情報の保持期間を指定します。詳しくは、プロダクトラインの設定を参照してください。
- アプリ側では、CUIDを含むイベントを送信するようにAppsFlyer SDKを設定します。開発者向けの手順は、顧客ユーザーIDの設定を参照してください。
クロスプラットフォームアトリビューションの結果の確認
- レポート:クロスプラットフォームアトリビューションの結果は、Data Lockerのクロスプラットフォームエンドユーザーイベントレポートで確認できます。
マイダッシュボード:「Cross Platform」テンプレートで確認できます。ダッシュボードテンプレートの選択について詳しくは、カスタムダッシュボードの作成を参照してください。
よくある質問(FAQ)
クロスプラットフォームアトリビューションとAppsFlyerの従来のアトリビューションで、結果が異なるのはなぜですか?
主な理由は以下のとおりです。
アトリビューションロジックの違い
- クロスプラットフォームアトリビューションは、ユーザー単位の計測です。 CUIDを使って同じユーザーのアクティビティをまとめ、その後のすべての行動を、プロダクトライン内でそのユーザーが属するキャンペーンのコホートに紐付けます。
- AppsFlyerの従来のアトリビューションは、デバイス単位の計測です(デバイスごとに1つのAppsFlyer ID)。このため、複数のデバイスやプラットフォームを利用する同一ユーザーが、別々のユーザーとして数えられ、それぞれ異なるタッチポイントに紐付けられる場合があります。
影響:総収益が同程度でも、メディアソース別やキャンペーン別の収益は大きく変わる場合があります。
アトリビューション日の違い
- 従来のコホートおよびLTVの結果では、アトリビューション日はアプリの初回起動日を示します。Webの場合は、最初のユーザー獲得日を示します。
- クロスプラットフォームのUA表示では、アトリビューション日は、プラットフォームをまたいでそのユーザーを最初に獲得した日を示します。クロスプラットフォームのリエンゲージメントが有効な場合、アトリビューション日は直近のノンオーガニック起動を反映します。
その結果、クロスプラットフォームアトリビューションの一部の指標は、従来のアトリビューションより前の日付に紐付けられる場合があります。